コロナで最後の夏阻まれた兄 思いを継いだ妹はマネジャーで選抜へ

堅島敢太郎
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 (25日、第95回記念選抜高校野球大会2回戦、香川・高松商―愛知・東邦)

 高松商(香川)は、春夏あわせて50回目の甲子園出場となる。

 硬式野球部は、マネジャーを志願する生徒に作文と面接の「選考試験」を課している。

 森菜緒さん(3年)は、小学生のときに野球に打ち込んだ経験がある。2年前の春に受けた「選考試験」で、三つ上の兄、涼馬さん(20)のことをつづった。

 涼馬さんは別の高校の野球部だったが、新型コロナウイルスの感染拡大で2020年夏の大会が中止になった。森さんの目には、自宅でぼうぜんとする兄の姿が焼き付いたという。

 「毎日練習してきたのに、兄は目標を失った」「それでも再び練習を始めた姿を見て、がんばっている選手を近くでサポートしたいという思いが強くなった」――。作文に思いを込めた。

 その結果、2倍の倍率を突破し、マネジャーとして入部した。

 1月、選抜大会の出場が決まった。兄からは「おめでとう!」とLINEが来た。

 菜緒さんは、高松商の初戦で記録員としてベンチ入りする。

 「兄の試合を見て、甲子園は『見るところ』から『行くところ』に変わった。スコアラーとして甲子園に行く夢がもうすぐかないそうで、楽しみです」(堅島敢太郎)

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