差し出された1枚の紙 コロナに追い詰められた3年前の3月場所の裏

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抜井規泰
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 大相撲3月場所が始まる。戦後初の無観客開催という異例の対応で乗り切ったあの場所から、もう3年が経とうとしている。

 新型コロナの感染が拡大し始めた2020年2月18日夕。相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)に、事務方トップの宮田哲次主事が1枚の資料を示した。

 《中止 2月23日 天皇誕生日 一般参賀(宮内庁) 東京都・皇居》

 A4の資料には、近く予定されている約20の催しの新型コロナへの対応が記されていた。「とにかく、経済的な影響も含めて、あらゆる状況に対処できるよう準備を進めよう」。八角理事長はそう指示すると、口を真一文字に結び、天井を見上げた。関係者によると、この時、大阪での3月場所の無観客開催が選択肢として浮上したという。

中止で失う入場料収入10億円と放送権料

 角界で「番付」は神聖な存在…

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