終わりの見えない侵攻が続くウクライナ。西部の街リビウには、東部や南部の激戦地で命を落とした兵士の亡きがらが連日帰り着く。最後の別れは、その人らしい姿で。遺体安置所にいる一人の「おくりびと」が化粧筆を握り、兵士たちの死と向き合っている。
その遺体は砲撃の痕が頭部に見てとれた。激戦地バフムートから運ばれてきた男性兵士だった。アントニイさん(35)は遺体を黒い袋から出して胸の前でさっと十字を切ると、泥などを丁寧に拭き取った。陥没した左の頭部に布を詰め、その上から肌の色に近い医療用テープを巻いた。
さらに液体と粉のファンデーションを塗る。固くつぶられた目にはマスカラを。泥に覆われていた顔はいくぶん生気を取り戻し、まるで眠っているかのようになった。
ファンデーションは暗めを 1千人に施して気付いた教訓
アントニイさんの本来の仕事…
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