前田穂南がMGC出場権獲得 「引退」を踏みとどまらせた強い思い
名古屋ウィメンズマラソンは12日、バンテリンドームナゴヤ発着の42・195キロで争われ、東京五輪代表の鈴木亜由子(日本郵政グループ)が2時間21分52秒で自己記録を更新し、日本勢トップの2位に入った。世界歴代2位の記録を持つルース・チェプンゲティッチ(ケニア)が、2時間18分8秒で2連覇を達成した。
2時間22分32秒の自己ベストで3位に入った前田穂南(天満屋)は、8月の世界選手権(ハンガリー・ブダペスト)の派遣設定記録を突破。10月のマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)の出場権を獲得した。(スタート時の天気は曇り、気温19・0度、湿度49・4%、北北西の風0・2メートル)
冷静な判断、地力を見せた最後の2キロ
ペースメーカーが外れた27キロ過ぎ、鈴木亜由子(日本郵政グループ)がロングスパートを仕掛ける。同じ集団にいた前田穂南(天満屋)は、ついていかなかった。「自分のリズムで走ることと、MGCの資格をとることだけに集中した」
天満屋の武冨豊監督は「無理して行ったら、後半はもっと(タイムは)落ち込んでいた」。最後の2・195キロは鈴木亜より2秒速いタイムで走り、自己記録を58秒更新する2時間22分32秒をマーク。狙い通りにMGCへの切符をつかんだ。
33位だった東京五輪以降、不運や度重なるけがに悩まされた。
昨年8月の北海道マラソンは新型コロナウイルスに感染して欠場し、今年1月の大阪国際女子マラソンも直前に左足のくるぶしを痛めて回避。マラソン界で主流となりつつある厚底シューズにもうまく適応できず、「引退しようかな」と口にしたこともあった。
それでも、悔しさしか残らなかった五輪でもう一度走りたいという一心でMGCシリーズ指定大会最終戦の名古屋に照準を合わせた。
今回も練習の消化率は3割程度と本調子にはほど遠かった。それでも自己記録を更新できたのは地力がついた証拠だ。
前田は「今回はしっかり結果につながった。これを自信にして次のステップアップにつなげたい」と力強かった。(辻隆徳)
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