トキワ荘で破った少女漫画のタブー 水野英子さん「恋や性よりも…」
田渕紫織
トキワ荘唯一の女性漫画家だった水野英子さん(83)は、少女漫画の様々なタブーを破ってきました。同世代の女性漫画家たちの記録を集め、書籍化を目指している水野さん。今年1月、23年ぶりに代表作が復刊しましたが、社会や業界を見渡したとき、当時から変わらない違和感があるといいます。
少女漫画のタブーに正面から
水野さんがデビューした1955年当時、少女漫画に恋愛は「御法度」だった。ロマンス漫画と言えば、手塚治虫の「リボンの騎士」のようなファンタジックなものが精いっぱいだった。
「ごく幼い男の子と女の子がちょっと寄り添うシーンを描くだけで、『PTAから抗議が来る』と言う編集者もいて、同時代の漫画家は無意識のうちに自己規制や自粛をしていたように思います」
しかし、「星のたてごと」(1960年)では、正面から男女の恋を描いた。神話を下敷きにした恋愛物語だ。
「ファイヤー!」でさらに踏み込んだ
なぜ、タブーを破ることができたのか。
まず、トキワ荘に出入りして…

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