漫画なら大谷翔平はボツ? MAJOR担当が明かす大ヒットの黄金律
「野球をもっと好きにさせてくれた」。ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の日本代表、大谷翔平選手が、そんな言葉を贈った漫画があります。主人公が少年野球からメジャーリーグの投手へと成長していく「MAJOR(メジャー)」です。一方、その作者が大谷選手をたたえたコメントでは「こんな選手を描いたら、担当編集にボツにされる」と。そこで「MAJOR 2nd(セカンド)」担当編集者の宮川拓人さん(29)に聞きました。大谷選手、漫画ではボツですか?
野球は漫画向き、でもWBC日本代表は…
少年漫画で大切なのはキャラクターと言われます。僕が担当する週刊少年サンデーの野球漫画「MAJOR(メジャー)」の満田拓也先生は、かつて大谷翔平選手について「『こんな選手を描いたら担当編集にボツにされる』と言われますが、その通り」といったコメントをしています。確かに、そうですね。
漫画では、作品内でのリアリティーが求められます。フィクションの醍醐(だいご)味は、現実にはいない人間を、いるかのように描くこと。作家さんと打ち合わせてリアリティーも考えながら、いそうでいない「ギリギリアウト」を攻めています。
そうやって、主人公や強いライバルのキャラを作っています。「MAJOR」では、主人公の茂野(本田)吾郎が右投げから左投げに変えるとか、高校時代に球速160キロ弱のボールを投げるとか。
読者が感情移入できることが大事です。主人公でなくても、脇役やいぶし銀でもいい。「MAJOR 2nd(セカンド)」の主人公、茂野大吾はめちゃめちゃ感情移入できるキャラだと思います。プロ野球選手として活躍した父と比べられたくないから「野球なんか絶対にやりたくない」という気持ちは、読者にも分かるはずです。
スポーツ漫画は大ヒットが難しいジャンル
自身と少しでも重なるようなキャラが、地道にコツコツと努力を重ねていく。その過程を見せることで、勝てなかった相手を超えたとき、自分のことのようにうれしくなります。
大谷選手は「投打の二刀流」…
- 【視点】
ヒットの方程式を現役編集者がはっきり語ることに、興味をそそられました。スポーツがテーマなだけではヒットしない、スポーツに興味のない人を巻き込む、下剋上の展開、一騎打ちの場面、関係性…。「黄金律」という言葉にもあるように、創作における普遍性、

言葉でたどる大谷翔平の軌跡
エンゼルス大谷翔平の語録集。幼少期から高校野球、日本ハム、そして大リーグまで大谷の軌跡をたどります。[もっと見る]