高市氏の放送法答弁 テレビ現場に与えた自民党への「萎縮と忖度」

有料記事放送法めぐる総務省文書問題

聞き手・池田伸壹
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 放送法の政治的公平性をめぐる総務省の行政文書問題。テレビ朝日に27年間在籍し、「スーパーJチャンネル」「報道ステーション」などの報道番組のディレクターを経験し、現在は独立して活躍するプロデューサーの鎮目博道さんに、テレビ現場の「萎縮の実態」について聞きました。今年出版した「腐ったテレビに誰がした?」でも放送法について警鐘を鳴らした鎮目さんは、当時の高市早苗総務相の発言を「脅威だと受け止めていた」と打ち明けました。

 総務省の「内部文書」で、放送法をめぐる政権中枢の問題が表面化しました。第2次安倍政権当時、テレビ局の現場にいた立場として率直に「ありそうな話だ」と思います。私は2016年4月のインターネットテレビ「Abema(アベマ)TV」の開局と同時に始めるニュース番組のプロデューサーをしており、高市早苗総務相のことは脅威だと受け止めていました。「高市大臣や自民党の影響で地上波が萎縮してしまって何もものを言えなくなっている現状の中、放送法の適用がないインターネット放送局アベマがなんとかして政治のニュースをきちんと、特に若者世代に伝えていけるようにしなければならない」という思いで頑張っていました。

 当時の地上波のテレビ局は政治、特に自民党に対して忖度(そんたく)し、安保法制をめぐる報道も萎縮していたと感じています。

 私が27年間在籍したテレビ朝日にとっては、その前から自民党との関係はいろいろありました。私が入社して2年目に、自民党が結党以来初めて下野した1993年の総選挙があり、当時報道局長の発言が「椿(つばき)発言問題」として注目され、国会での証人喚問も行われました。私自身、局長の発言を一字一句起こして文書にするなどの対応をしました。その後も、報道局の同僚たちが自民党との関係で苦労していました。

安倍政権下 加速したテレビ現場の萎縮

 特に2012年に第2次安倍…

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