「一般的に開業医のレベル高い」かかりつけ医の活用 香取教授に聞く
コロナ禍では日本の医療が抱える問題が顕在化し、高齢人口がピークに近づく2040年に起こるであろう事態が目の前で起こった――。厚生労働省出身で政府の全世代型社会保障構築会議のメンバーでもある上智大学の香取照幸教授は指摘します。
インタビュー前編では、医療や介護の需要が増大する2040年代を乗り切るため、今国会で関連法案が審議されている「かかりつけ医機能の強化」がカギを握ることを論じました。後編では、私たちが「かかりつけ医」をどう活用するか、具体論を考えます。
――現実に、誰がどうやって「かかりつけ医」を決めたらよいのでしょうか。
イメージは小児科の先生選び
「かかりつけ医を持つこと、選ぶことは患者の権利だ。誰かに決めてもらうのではなく、患者・家族自身が決めるものだ」
かとり・てるゆき 1980年に旧厚生省入省。90年代の介護保険の創設に深く関わる。年金局長などを経て、2010年代前半には「社会保障・税一体改革」を取りまとめた。20年から上智大学総合人間科学部教授。
「かかりつけ医というのは患者との信頼関係が基本だ。小児科の先生選びをイメージするとわかりやすい。ほとんどの保護者は、自分の子どもを連れていく小児科医を決めている。保護者同士のコミュニケーションや近所の評判を調べ、実際に受診してみて、最後にここなら信頼できる、と考えて決める。かかりつけ医の決め方、決まり方はそういうものだ」
「継続的に医療が必要な高齢者であれば、日頃から医師と関わっているからかかりつけ医が決まりやすい。難しいのは、健康で普段は医者と縁がない人たち。そもそも医療というのは非日常のもので、何もなければお世話になることがないし、できればお世話になりたくない。それを日常の延長線上に位置づけるのは簡単ではない」
「会社員なら、近所の医者よりも、職場の産業医がかかりつけ医になるような形が現実的かもしれない。会社や健康保険組合の立場からすれば、社員が病気になって仕事を休んだり医療費がかかったりするのは困るので、普段から健康管理や予防に取り組ませたいからだ」
主治医とかかりつけ医はどう違う
――普段から病院に行く機会が多い高齢者は、病気の種類によって別々の「かかりつけ医」がいる人が多いのでは。
「わかりやすくいうと、病気…