第3回「僕は、別府に帰るぞ」失語症からの復職、有言実行した出口治明さん
中井なつみ
A-stories「出口治明さん 言葉を取り戻す」
6カ月のリハビリ入院を経て、立命館アジア太平洋大学(APU)学長の出口治明さん(74)は、ようやく退院することになった。
2021年8月、久しぶりに東京の自宅に戻ると、自分でも気付かぬうちに、気持ちが高揚していた。
コロナ下、面会は月に1回、30分と限られていた。家族と日常的に会えるようになったことも、うれしかった。
好きな肉料理をたくさん作って出迎えてくれた妻の姿に、自宅に帰ってきたことを実感した。
退院後は、自宅に療法士らが訪れる訪問型サービスを使って、週に4時間、リハビリをすることになった。理学療法と作業療法を1時間ずつ、言葉のリハビリを2時間受けることにした。
あふれ出してきた「言葉」
言葉のリハビリの日は、言語…