使われない菜園、担い手いない役員…災害公営住宅「老老共助」の模索

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原篤司 東野真和
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 平屋建ての建物の中を廊下が通り、居室のドアはスライド式。建物の外に通路がある集合住宅と比べ、部屋同士の距離が近い。

 宮城県石巻市の「新西前沼第三復興住宅」の1、2号棟は、住民が支え合って暮らすことをめざす共助型の災害公営住宅を掲げる。

 阿部昌則さん(73)は2018年のオープン以来、団地会長を務める。

 花が咲き、子どもや犬の楽しそうな姿が描かれたパンフレットにひかれて、夫妻で入居した。

 ただ、現実は違った。入居者は自分たちより年上ばかり。共助型というが、運営のひな型はなく、手探りが続いた。

「共助型の看板を下ろしてもいいのでは…」

 何か問題が起きれば「会長さんにまず」と言われる。3年前には心労が重なった阿部さんが脳梗塞(こうそく)で倒れ、約2週間入院した。

 建物の中庭には、入居者が野菜を植えて楽しむ想定の「家庭菜園」があるが、入居開始以来、誰も使わずシートをかぶせたままだ。

 妻の啓子さん(69)は言う…

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