「ただの箱に3億円も?」鳥取初の県立美術館にウォーホル、賛否の声
ポップアートを代表する米国のアンディ・ウォーホル(1928~87)。今年度、その作品を鳥取県が購入したことが波紋を広げている。
2025年春に開館する初の県立美術館の目玉展示とするためだが、賛否を呼ぶことになったのはその購入額。6点で約3億3700万円――。
県が購入したのは、「ブリロの箱」など。ブリロの箱は、米国の洗剤付きタワシ「ブリロ」の配送用段ボール箱を模した立体作品で、1964年に初めて発表された。
木の板で箱を作って白く塗り、図柄を忠実にシルクスクリーンで転写。白地に赤と青のデザインが人気を集め、代表作の一つとなった。
県は今年度、68年制作の希少な1点を6831万円で、後年に制作された4点を各5578万円で購入。さらにアルミ製のキャンベルスープ缶の立体作品も4554万円で購入し、計約3億円以上をウォーホル作品につぎ込んだ。
この「高額」購入が地元メディアで報道されると、「ただの箱に3億円も?」などとSNSで話題となった。
騒動を受け、県教育委員会は各地で説明会を開いてきた。県民からは「3億円もの価値があるのか、理解できない」「コロナで大変な時期に、白紙に戻す英断ができないのか」など、否定的な意見が噴出した。
一方、「ウォーホルを見られるのが楽しみ。本物が鳥取で見られるのは価値がある」と購入を評価する声や、「ウォーホルを知らない人が多いのは鳥取県が美術振興をサボってきたツケだ」と現状を憂える声もあった。
説明会は昨年末までに、県内5カ所で開催し計約200人が参加した。さらに、ブリロの箱に関する講演会も昨年から今年にかけて3回開催。県教委は今後も説明会などの機会を作り、県民に理解を求めていきたい考えだ。
一方、平井伸治知事は昨年11月の定例会見で、県民の賛否をふまえ、「ブリロの箱を鳥取県が保有、展示し続けることが是か非か、(開館後に)来館者らに投票してもらって、3年ぐらいで判定してもらったらどうか」とも提案した。
19億3千万円でモディリアーニ購入した自治体も
国内の公立美術館が、「高額」作品を購入した事例は過去にもある。
ミレーの作品収集で知られる…
- 【視点】
こんなこと言うのは論外として、言われて一生懸命釈明したりするなら、美術館なんて最初から作るべきじゃない。アートとは本来価値の無いものに価値を与えること。言ってしまえば、ダ・ヴィンチの「モナリザ」だって元はと言えばキャンバスと油絵具。野暮な事