小中高生は何に苦しむのか 自殺最多、現場が指摘するコロナ禍の影響

石川友恵
[PR]

 小学生から高校生までの514人が昨年、自ら命を絶ちました。過去最悪の状況について、専門家は長引くコロナ禍の影響も指摘しています。子どもたちは何に苦しんでいるのでしょうか。できることはないのでしょうか。現場では模索が続いています。

 「人間がこわい」「もう終わりにしたい」――。

 認定NPO法人「国際ビフレンダーズ」が運営する東京自殺防止センターには夜間、悩みを抱える人からの電話相談が相次ぐ。2021年に対応した相談は5493件。30~50代が中心だが、10代も148件あった。子どもは「周りから嫌われている」「人の輪に入っていけない」など人間関係の悩みが多いという。

 厚生労働省のまとめでは22年の児童・生徒の自殺者514人のうち、男子高校生が4割を占めた。しかし電話相談では、10代のうち男性は約2割にとどまる。

 センターの美濃部豊樹所長は「何を話していいか戸惑ってしまい、途中で電話を切ってしまう人もいる」と話す。ただ、相談員が「まとめなくていいからゆっくり話して」と伝えると、間を置いて話し始めるという。

 「特に10代の男性は、心のうちを秘めておかなきゃいけない、と思ってしまう人が少なくない。コロナ禍で対面でのコミュニケーションをする機会が減って、さらに話せなくなってしまっていると考えられる」

 さらに美濃部さんが心配するのが、SNSの普及だ。「若年層は特にSNSを通して『死にたい』人同士でつながるなど、悪い意味で身近になってしまっている」。同法人では、ツイッター社と連携し、「死にたい」などと検索すると、自動的にセンターのアカウントが表示され、ホームページにアクセスして相談できるようにしている。

 センターでは現在、37人態勢で年中無休で電話相談にあたるが、相談が多すぎて、電話を受けられないこともあるという。美濃部さんはこう訴える。「親世代も経済的なことや仕事の悩みを抱え、子どもの悩みを聞く余裕がない。例えば子どもたちには専門的な担当者を交えた形でSNSでつながれる居場所をつくるなど、安心して悩みをいえる環境が求められる」

 東京自殺防止センター(03・5286・9090)は相談受付時間は午後8時~翌午前2時半。月曜は開始時間が午後10時半、火曜は午後5時。無休。(石川友恵)

◆悩みの相談先

【SNS相談】

〈NPO法人ライフリンク「生きづらびっと」〉

LINE @yorisoi-chat

チャット https://yorisoi-chat.jp/別ウインドウで開きます

(月・水・金曜の午前11時~午後10時半、火・木・日曜の午後5時~同10時半、土曜の午前11時~午後4時半)

〈NPO法人東京メンタルヘルス・スクエア「こころのほっとチャット」〉

LINE/Twitter/Facebook @kokorohotchat

チャット https://www.npo-tms.or.jp/public/kokoro_hotchat/別ウインドウで開きます

(毎日の正午~午後3時50分、午後5時~同8時50分、午後9時~同11時50分、月曜午前4時~同6時50分など)

〈NPO法人あなたのいばしょ〉

チャット https://talkme.jp/別ウインドウで開きます

(24時間対応)

〈NPO法人BONDプロジェクト〉

※10代、20代の女性のための相談を実施。LINE @bondproject

(月・水・木・金・土曜の午前10時~午後10時)

メール hear@bondproject.jpメールする

(24時間受け付け)

【電話相談】

〈#いのちSOS〉

0120・061・338

(月、木、金曜は午前0時~翌午前0時、火・水・土・日曜は午前6時~翌午前0時)

いのちの電話

0570・783・556

(毎日の午前10時~午後10時)

〈チャイルドライン〉

※18歳までの子どものための電話

0120・99・7777

(毎日の午後4時~同9時)

チャット相談 https://childline.or.jp/chat別ウインドウで開きます

(実施日はサイトに掲載、午後4時~同9時)

※2023年3月14日現在

有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません