把握されない「密室」の虐待 「強制入院」が温床に 国連も問題視
石川友恵 寺崎省子
東京都八王子市にある私立の精神科「滝山病院」で、看護師が患者への暴行容疑で逮捕、略式起訴された。事件からは、世界的にも病床数が多い日本の精神科医療の問題点が浮かぶ。
精神科医療を専門とする都立松沢病院(世田谷区)の斎藤正彦名誉院長は、低収入で透析治療が必要な患者を受け入れる滝山病院のような精神科病院は極めてまれだと言う。
斎藤さんによると、松沢病院には糖尿病や肝硬変などの身体合併症に対応する専門病棟があり、他の民間病院で受け入れ先がない患者の最期をみとることも。こうした合併症医療ができる公的病院は都内では松沢病院だけで「病棟は赤字」という。ただ、「慢性の透析が必要な患者を受け入れてしまったら、急性期の透析患者への対応ができなくなってしまう」。同病院も過去にはどうしても受け入れられない場合には、患者を滝山病院に受け入れてもらったことがあるという。
「行政は見て見ぬふりをしていた」
斎藤さんは、身体合併症など…
【10/25まで】すべての有料記事が読み放題!秋トクキャンペーン実施中!詳しくはこちら