韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領が16日午前に日本に到着し、岸田文雄首相と同日午後、会談に臨んだ。
韓国大統領の来日は、2019年6月に大阪で開かれた主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)に出席するために来日した文在寅(ムンジェイン)氏以来、約4年ぶり。国際会議の出席ではなく、首脳会談だけを目的にした来日は、11年12月の李明博(イミョンバク)氏が京都を訪れて以来、約11年ぶりとなる。
岸田氏と尹氏は今回の会談で、日韓の最大の懸案だった徴用工問題を乗り越え、国交正常化以降最悪と言われた関係の改善をめざす。北朝鮮問題をはじめとする安全保障での連携も強化する。
こうした中、北朝鮮は16日朝、弾道ミサイルを発射した。日韓首脳会談に合わせ、強い姿勢を示したとみられる。
日韓の動きをタイムラインでお伝えします。
07:20
北朝鮮がミサイル発射、日韓を牽制か
韓国軍合同参謀本部は16日、同日朝に北朝鮮から日本海に向けて弾道ミサイルが発射されたと発表した。ミサイルの種類や飛行距離、落下地点などは明らかになっていない。13日に始まった米韓の合同軍事演習に強く反発しており、軍事的挑発行動を続けている。
16日夕には東京で日韓首脳会談が予定されており、関係改善に伴い、米国とともに安全保障協力の強化が見込まれる日韓を牽制(けんせい)する意図もありそうだ。
北朝鮮は9日、「新型戦術誘導兵器」と呼ぶミサイルを6台の移動式発射台から同時に黄海に向けて発射。12日は北朝鮮沿岸の日本海で潜水艦から「戦略巡航ミサイル」、14日にも短距離弾道ミサイル2発をそれぞれ発射している。
08:35
岸田首相「同志国との連携を一層緊密に」
北朝鮮が弾道ミサイルを発射したことを受けて岸田文雄首相は16日朝、首相官邸で記者団に対し、「地域の平和と安定は関係国にとって大変重要な課題だ。同盟国、同志国との連携をより一層緊密にしていかなければならない」と述べた。
政府は首相官邸で国家安全保障会議(NSC)の4大臣会合を開催。松野博一官房長官や浜田靖一防衛相ら関係閣僚が情報分析を行い、今後の対応を協議している。
防衛省によると、北朝鮮は16日午前7時9分ごろ、弾道ミサイルを日本海に向けて発射。ミサイルは約70分間飛び、8時19分ごろ、北海道の渡島大島の西方約200キロに落下したと推定されるという。日本の排他的経済水域(EEZ)外の日本海だった。
8:40
防衛省、「北朝鮮がICBM級のミサイル1発を発射」
防衛省は16日午前、北朝鮮が同日午前7時9分ごろに平壌付近から大陸間弾道ミサイル(ICBM)級のミサイル1発を東方向に向けて発射したと発表した。ミサイルは約70分間飛び、同8時19分ごろに北海道・渡島大島の西方約200キロの日本海に落下したと推定されるとした。日本の排他的経済水域(EEZ)の外側だった。
ミサイルの飛翔(ひしょう)距離は約1千キロ、最高高度は6千キロ超。政府関係者によると、通常よりも高い角度で打ち上げて、飛距離を抑える「ロフテッド軌道」で発射されたとみられるという。
浜田靖一防衛相は記者団に「国民の生命、財産を守り抜くため、米国などとも緊密に連携し、情報収集・分析及び警戒監視に全力を挙げる」と語った。
09:30
松野官房長官「会談で非核化に向けて連携確認する」
北朝鮮による弾道ミサイル発射を受け、松野博一官房長官は、首相官邸で緊急の記者会見を行い、日本政府として北京の大使館ルートを通じて北朝鮮に厳重に抗議したことを明らかにした。松野氏は、「本日の(日韓)首脳会談で、北朝鮮の完全な非核化に向け、引き続き日韓、日韓米で緊密に連携していくことを確認したい」と語った。
松野氏は会見に先立ち、首相官邸で国家安全保障会議(NSC)の4大臣会合を開催したと説明。今回の発射と16日に予定されている日韓首脳会談との関連については、「予断をもってお答えすることは差し控える」と語った。尹錫悦(ユンソンニョル)大統領の来日をめぐる一連のスケジュールへの影響は「今のところ予定通りだと承知している」と述べた。
10:00
尹錫悦大統領が韓国から出発
韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領が就任後初めてとなる訪日のため、ソウル近郊の空港から出発した。妻の金建希さんも同行している。
10:15
ミサイル発射受け、日米韓当局が電話協議
外務省は16日、北朝鮮による大陸間弾道ミサイル(ICBM)級のミサイル発射を受けて、外務省の船越健裕アジア大洋州局長、米国務省のソン・キム北朝鮮担当特別代表、韓国外交省の金健(キムゴン)朝鮮半島平和交渉本部長が電話で協議したと発表した。
3氏は北朝鮮のミサイル発射を強く非難したうえで、「地域の安全保障にとって重大かつ差し迫った脅威であり、国際社会に対する明白かつ深刻な挑戦だ」との認識を共有。北朝鮮の非核化に向け、日米韓の安全保障協力を含む地域の抑止力強化などについて、日米、日韓、日米韓で緊密に連携することを改めて確認した。
10:30
公明党の山口代表「日韓関係の改善に期待」
公明党の山口那津男代表は午前の中央幹事会のあいさつで、日韓間の懸念となってきた徴用工問題について、「解決策についてきちんとした方向性を確認していただきたい」と述べ、日韓首脳会談に期待した。「日韓関係の大局的な関係の改善と結束を確認することを期待している」と語った。
また、午前に確認された北朝鮮による弾道ミサイルの発射については「韓国と日本がしっかり連携をして、日米韓の結束を強め、地域の抑止力を強化していく取り組みが重要だ」と述べた。
11:00
松野官房長官「首脳同士の率直なやりとり期待」
松野博一官房長官は午前の記者会見で、この日行われる日韓首脳会談について、「現下の戦略環境にかんがみ、安全保障面を含め、日韓、日韓米の戦略的連携を強化していく。また、自由で開かれたインド太平洋の実現に向け、韓国と連携して取り組む考えだ」と語った。
会談の成果については、「現時点で予断を持って答えることは差し控えたい」としながらも、「首脳同士で率直なやりとりが行われ、国交正常化以来の友好協力関係の基盤に基づき、日韓関係がさらに発展することを期待する」と語った。
11:40
尹錫悦大統領が日本に到着
韓国の尹錫悦(ユンソンニョ…
- 【視点】
岸田首相は共同会見で「歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継いでいることを確認した」と述べたが、「歴代内閣の立場」とはどのようなものか。「引き継ぐ」だけでいいのか。まだまだ考えるべきことがある。 最も気になるのは、2018年