5年前は、生きていくだけで精いっぱいだった。
横浜市に住む40代の女性は当時、ワンオペで子育てをしていた。長女のモモカさん(9)=仮名=は人工呼吸器を使っていて、ケアに追われる毎日。あまり記憶も残っていない。
そんな生活が一変したのはモモカさんが保育園に通えるようになってからだ。
モモカさんは妊娠24週、626グラムで生まれた。NICU(新生児集中治療室)に9カ月入り、退院時には鼻から胃にチューブを通す経管栄養と人工呼吸器を使っていた。日常的に医療的ケアを必要とする「医療的ケア児」だ。
5年前は女性が付き添って、5歳年上の長男も通った近くの幼稚園の「未就園児クラス」に通っていた。しかし、翌年度から入園しようとすると、幼稚園から断られた。
当時は人工呼吸器なしでも生活できるようになっていたが、気管切開をしているため、たんの吸引などのケアがあった。女性の付き添いなしで通うには看護師を配置してもらう必要があり、園が難色を示したからだ。
他の幼稚園もしらみつぶしにあたったが、すべて断られた。
園から掛けられた思いがけない言葉
そんなとき、区役所のソーシャルワーカーから「一緒に保育園を探しましょう」と声をかけてもらった。
その頃、女性は仕事をしておらず、保育園は利用できないと思っていた。
「園庭開放」をしていた近く…
- 【解説】
筆者です。この記事はどうしても伝えたいと思いました。私の長男もまた、この記事に登場するモモカさん(仮名)や双子ちゃんのように、園長先生との出会いで保育園に入ることができたからです。 長男は障害があり、口から食べたり飲んだりすることがで