「首が飛ぶぞ」礒崎氏が官僚に放った力の源泉 モリカケとの共通項は

有料記事放送法めぐる総務省文書問題

聞き手 シニアエディター・尾沢智史
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 放送法の政治的公平性をめぐる行政文書に記された官邸内部の生々しいやり取りから、何が読み取れるのか。安倍政権の内情を描いた「官邸官僚」や加計学園問題に切り込んだ「悪だくみ」(大宅賞)で知られるノンフィクション作家の森功さんは、安倍政権の「権力の二重性」と「意思決定のひずみ」を指摘します。首相補佐官が大きすぎる権力を持っていた「安倍官邸」はなぜ生まれ、日本の政治にどんな影響をもたらしたのでしょうか。

     ◇

 「放送法文書」を読み、安倍官邸が思ったほど一枚岩ではなかったと再認識しました。

 礒崎陽輔首相補佐官は、菅義偉官房長官に話を通そうとする総務省側に「俺と総理が二人で決める話」と言っていた。礒崎氏に抵抗した総務省出身の山田真貴子首相秘書官は、総務相経験者の菅さんが女性初の首相秘書官に起用したと言われ、菅政権で内閣広報官にもなりました。安倍晋三首相のトップダウンで話を進めたい礒崎氏と、菅氏を後ろ盾に抵抗する総務省という対立が見え隠れします。

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    星野典久
    (朝日新聞政治部次長)
    2023年3月16日15時55分 投稿
    【視点】

    第2次安倍政権以降の官邸を長く取材してきましたが、わたしも森功さんのご指摘に同意です。官邸主導それ自体は悪くないのです。問題は、政策決定を官邸が主導する際に、関係省庁からの慎重意見に耳を貸さなくなる、副作用を十分考慮せずに政策を遂行してしま

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