刑事裁判は無罪、なのに免許取り消しのまま 無効を求めた女性が勝訴
中山直樹
交通事故でバイクの男性に重傷を負わせたとして起訴され、刑事裁判で無罪が確定した福岡市の女性(44)が運転免許の取り消し処分を無効にするよう求めた行政訴訟の判決が15日、福岡地裁であった。林史高裁判長は「事故が原告の不注意によって発生したとはいえない」などとして女性の訴えを全面的に認めた。
判決などによると、女性は2017年2月、仕事で軽トラックを運転していた際に原付きバイクと衝突。バイクの男性に重傷を負わせたとして、自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致傷)の罪に問われたが、裁判では女性に過失が認められなかったとして、無罪が確定した。女性は事故後、免許の取り消し処分を受けていたが、福岡県公安委員会は無罪の確定後も処分を継続していた。
この日の判決で林裁判長は、防犯カメラの映像などから事故の状況を改めて整理したうえで、「被害者にも相応の過失があったことを否定しがたく、免許の取り消し処分の内容には過誤がある」と指摘し、処分は無効とした。
原告の女性は判決後に会見を開き、「免許がないことで仕事や生活に支障が出ていた。事故から6年、長かったという思いが一番強い」と話した。
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