欧州で急増の移民や難民 2015年以来の水準に 各国で強まる排除

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セルビア南部プレシェボ=宋光祐
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 欧州をめざす移民や難民が増加し、2015~16年の「難民危機」以来の水準に達している。新型コロナによる渡航制限が緩和されたことに加え、ロシアのウクライナ侵攻で物価高や食料危機が深まっているためだ。イタリアや英国は不法入国者として排除する姿勢をみせて警戒している。(セルビア南部プレシェボ=宋光祐)

記事のポイント①地中海を命がけで渡る難民の2割は子ども②増える移民、欧州は排除の動きも③「ウクライナ難民とダブルスタンダード」嘆くNGO

 イタリア南部カラブリア州沖のイオニア海で2月26日、移民や難民を乗せた木造船が沈没した。アフガニスタンやイラン、パキスタンソマリアなどの出身者約200人が乗っていたとされ、3月26日までに91人の死亡が確認された。そのうち、約40人は子どもだ。

 マッタレッラ伊大統領は2日、遺体が安置された同州クロトーネのスポーツ施設を訪れ、花束の飾られたひつぎの前で祈りを捧げるように数分間立ち尽くした。

 ANSA通信によると、マッタレッラ氏が訪れた病院では、負傷したアフガン人の女性が、同乗していて行方不明になった子ども2人を見つけてほしいと懇願した。

 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、今年地中海を渡った難民は約3万5千人。死者・行方不明者はすでに443人に上る。上陸先はイタリアが最も多く約2万7千人で、子どもが2割を占める。

 欧州連合(EU)の国境警備を担う欧州対外国境管理協力機関(フロンテックス)によると、22年の不法越境者は約33万人で、21年から64%増加。シリア難民らがドイツなどに逃れ、100万人以上を記録した15~16年の「難民危機」以来の水準だ。

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