北朝鮮から弾道ミサイル、約70分でEEZ外に落下 日韓を牽制か
防衛省は16日、北朝鮮から弾道ミサイルの可能性があるものが発射されたと同日午前7時10分すぎに発表した。
防衛省によると、北朝鮮は午前7時9分ごろ、平壌近郊から1発の大陸間弾道ミサイル(ICBM)級のミサイルを東方向に向けて発射。発射された弾道ミサイルは約70分飛翔(ひしょう)し、同8時19分ごろ、北海道の渡島大島の西方約200キロの日本海に落下したと推定される。この海域は日本の排他的経済水域(EEZ)外。飛翔距離は約1千キロ、最高高度は約6千キロを超えると推定されるという。付近を航行する航空機や船舶に情報を提供したところ、被害報告の情報は確認されていないとしている。
このミサイルについて、海上保安庁も同8時21分、すでに落下したとみられると発表した。船舶に対し、落下物に近づかず、関連情報を通報するよう呼びかけている。
韓国軍合同参謀本部は16日、同日午前7時10分ごろ、北朝鮮が平壌近郊の順安(スナン)付近から日本海に向けて長距離弾道ミサイル1発を発射したと発表した。同本部によると、通常よりも高い角度で打ち上げて、飛距離を抑える「ロフテッド軌道」で発射されたという。大陸間弾道ミサイル(ICBM)とみられる。北朝鮮は13日からの米韓合同軍事演習に強く反発し、軍事的挑発行動を続けている。
ミサイル発射を受けて、岸田文雄首相は16日朝、首相官邸で記者団に対し、「地域の平和と安定は関係国にとって大変重要な課題だ。同盟国、同志国との連携をより一層緊密にしていかなければならない」と述べた。政府は首相官邸で国家安全保障会議(NSC)の4大臣会合を開催。松野博一官房長官や浜田靖一防衛相ら関係閣僚が情報分析を行い、今後の対応を協議している。
日本の防衛省によると、北朝鮮が同日午前7時9分ごろに平壌付近からICBM級のミサイル1発を東方向に向けて発射。ミサイルは約70分間飛び、同8時19分ごろに北海道・渡島大島の西方約200キロの日本海に落下したと推定されるとした。日本の排他的経済水域(EEZ)の外側だった。飛翔(ひしょう)距離は約1千キロ、最高高度は約6千キロを超えると推定されるという。付近を航行する航空機や船舶に情報を提供したところ、被害報告の情報は確認されていないとしている。
日本政府関係者も「ロフテッド軌道」で発射された可能性があるとみているという。
韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領は16日午前、就任後初めてとなる訪日のため、ソウル近郊の空港から出発した。尹氏はこれに先立ち、同日朝にあった大統領府の国家安全保障会議で、「北朝鮮の無謀な挑発は明らかな対価を払うことになる」と批判。米韓演習を徹底的に行うよう指示し、日米韓による安保協力の強化の必要性も訴えた。
同日夕には東京で岸田氏との日韓首脳会談が予定されている。北朝鮮のミサイル発射には、関係の改善に伴い、米国とともに安全保障協力の強化が見込まれる日韓を牽制(けんせい)する意図もありそうだ。
北朝鮮は2月18日にも、ICBM1発を発射。「ロフテッド軌道」で発射し、渡島大島の西約200キロの日本海に落下した。最近は、9日に「新型戦術誘導兵器」と呼ぶミサイルを6台の移動式発射台から同時に黄海に向けて発射。12日は北朝鮮沿岸の日本海で潜水艦から「戦略巡航ミサイル」、14日にも短距離弾道ミサイル2発をそれぞれ発射している。(ソウル=鈴木拓也)
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- 【視点】
朝鮮半島有事を想定した米韓合同軍事演習のさなか、韓国大統領が日韓関係修復のために来日する日に発射。米国に届きうるのにあえて高く打ち上げて日本海へ、しかも批判を受けにくい排他的経済水域外に落とす。北朝鮮のミサイル発射は、閉鎖独裁国家の意思表明