企業がうたう多様性、内実が問われる今 トップが語るパラ支援の意義

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構成・藤野隆晃
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 東京パラリンピックの招致をきっかけに、多くの企業がパラスポーツへの支援を始めました。そのなかで、招致以前から関わってきた企業があります。アクサ・ホールディングス・ジャパンを経営する安渕聖司さんにその意義やパラスポーツ側に求めることを聞きました。

 ――アクサグループでは2006年から、パラリンピック競技のブラインドサッカー(ブラサカ)を支援しています。当時は社長就任前でしたが、取り組みを知っていましたか。

 「11年から個人的に、『ダイアログ・イン・ザ・ダーク』という活動に取り組むNPOに関わり、今は理事をしています。視覚障害者に案内してもらい、暗闇の中で視覚以外の感覚やコミュニケーションなどを体験する取り組みです」

 「ですから、どの企業が視覚障害者のサポートをしているかということは知っていました。ブラサカ日本代表の川村怜選手、加藤健人選手、秋葉茂選手を雇用していると聞いていたので、良いことをしているなと思っていました」

 ――アクサグループの社長に就任して感じたことは。

 「外から見ているよりも広がりがありました。障害の有無にかかわらず同じ職場で働き、試合があれば社員が子どもを連れて応援に行く。障害ではなく、その人自身がもつ個性に目を向ける。そんなインクルーシブ(包摂的)な職場のシンボルが、ブラサカの選手たちだと思います」

 「ブラサカの選手だけでなく、聴覚障害者が参加する国際大会『デフリンピック』に出場した選手もいます。卓球の立石里吏選手はセールスアシスタントとして活躍しています」

 「障害の有無にかかわらず交ざり合って仕事をすることで、人間の力ってすごい、と実感できる。考え方もオープンになるし、社員にとってポジティブなことだと思います」

 ――パラスポーツを支援する意義はどのような点にあると考えていますか。

 「直接のリターンを求めてい…

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    中川文如
    (朝日新聞スポーツ部次長)
    2023年4月1日15時23分 投稿
    【視点】

    「『足を出して』じゃなくて、『右足を2歩分、前に出して』の方がわかりやすいよ」 目隠しをした子どもに、目の見えないブラインドサッカー選手が語りかける。日本ブラインドサッカー協会が小中学生を対象に提供する体験型授業のひとコマです。

    …続きを読む