尹錫悦式の対日「太陽政策」で政治決着 持続には日本の対応も不可欠
旅人の外套(がいとう)を脱がせたのは北風ではなく太陽だった――。イソップ寓話(ぐうわ)にちなんだ「太陽政策」というと、韓国ではもっぱら、対話重視の北朝鮮への接近法として語られる。
かつて韓国の朴槿恵(パククネ)政権で、当時の安倍政権に強硬な姿勢をとり続けたのが尹炳世(ユンビョンセ)外相だった。
あるとき、直接話す機会があったので「こわもてばかりではうまくいかない。北風より太陽、まさに対日太陽政策が必要な時ではないか」とおそるおそる話してみた。意外にも尹外相は「そうかもしれない」と切り出した上で続けた。
「で、どの辺を評価すればいいのですか」
「……」
あれから10年。左派から政権を奪還した尹錫悦(ユンソンニョル)政権は北朝鮮には冷たい息を吹きつけるものの、日本に対しては温かな光をあて続けてきた。
まさに対日「太陽政策」である。
外交の最大懸案だった徴用工問題は3月6日、韓国政府が解決策を発表し、政治決着した。そこに至るまでには、文在寅(ムンジェイン)・前政権時代に凍(い)て付いた両国関係を溶かす尹政権の政策が大きな役割を果たした。
その対日太陽政策とは、いかなるものだったのか。
尹政権は発足以来、ずっと日…
- 【視点】
日韓双方の外交現場を踏まえた見解。しかし、外交のプロだけが知っているような経緯と事情を踏まえないと含意が理解できない「歴史認識に関する立場の継承」という文言で、相手国の一般国民を納得させるのは至難だろうとも思う。