被爆2世ジャーナリストが見たイラクとウクライナ 時超えて重なる声

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中野晃
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 「なぜこんなことが許されるの。どうして止めることができないの」

 ウクライナ南部オデーサの郊外で昨夏、1人の妊婦ががれきの山を前にそう言った。彼女のアパートはロシア軍のミサイル攻撃で破壊された。4歳の息子は「入っちゃだめ。危ない」とおびえていた。

 思わず、はっとした。イラクで戦火から逃れようと避難する女性から聞いた言葉と同じだった。イラク開戦から20年。世界で戦火が絶えることはない。

 アジアプレスに所属するフリージャーナリストの玉本英子さん(56)=大阪府=は、イラク開戦前から20年以上にわたって現地へ通い、戦禍に苦しむ人々にカメラを向けた。

 2004年、米軍が掃討作戦を展開した中部のファルージャに入った。空襲で妻子を殺され、血しぶきのついた壁の前で涙をにじませる男性、家族や親類十余人を殺されて嘆き悲しむ妊婦――。住宅地への爆撃や地上部隊の狙撃で無数の市民が犠牲になり、サッカー場わきの急ごしらえの仮墓地に遺体が埋葬されていた。

 郊外に避難した主婦は声を震…

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