タマゴないと「商品つくれない」 洋菓子のモロゾフに卵ショック直撃
洋菓子メーカーのモロゾフ(神戸市)を「エッグショック」が直撃している。
鳥インフルエンザの流行による鶏卵不足の影響によって、プリンやケーキなど一部の商品が販売休止を余儀なくされている。同社は「せっかく人流が回復して売り上げが伸ばせるのに、そもそも材料のタマゴがない」(幹部)と嘆き節だ。
同社が16日発表した2024年1月期の業績見通しは、売上高は23年1月期からほぼ横ばいの325億円としたが、本業のもうけを示す営業利益は前年比29.4%減の17億円、最終的なもうけを示す純利益は33.7%減の11億円と、振るわない。
新型コロナによる行動制限が緩和されて個人消費が回復した23年1月期は、売り上げが回復し、「CUSTA」などの新ブランドも好調だったことから、営業利益、純利益がいずれも過去最高だった。
同社が製造、販売するプリンやケーキ、クッキーやフィナンシェなど多くの商品で鶏卵が使われている。
ところが、鶏卵不足のために足元では、必要とする量の約6割しか確保できていない。そのため、小容量のカスタードプリンやレアチーズケーキの販売を休止した。焼き菓子も商品数を絞り込んでいる。
鶏卵の使用量が比較的少なくてすむフルーツやゼリー部分が大きいプリンの販売へシフトするなど策をこらしているが、各売り場では夕方になると品切れが相次いでおり「売りたくても供給できない」という。
原材料の調達コストは鶏卵が7%ほど上がっており、今後よくなる見通しはないという。カカオなど他の原材料コストも軒並み10%近く上昇しているという。
16日、大阪市内で決算会見に臨んだ山口信二社長は「タマゴがないとモノがつくれない。(経営上)鶏卵不足は原材料高や値上げ以上に大きなインパクトだ」と語った。(金子智彦)
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