「まさか我が家のベランダが…」 DMきっかけに思わぬ科学の新発見

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矢田文
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 「1株いただけないでしょうか」

 名古屋市緑区の会社員、佐々木令幸(のりゆき)さん(50)に、ツイッターを通じてそんなダイレクトメッセージが届いたのは2019年5月のことだった。

 佐々木さんは自宅マンション5階のベランダでたくさんの植物を育てていた。20年以上前から続けており、気がつけば大小あわせて100個ほどの鉢植えが並ぶ。

 ベランダで育てていると、ときどきどこかから種が飛んできたのか、身に覚えのない植物が勝手に生えてくることもある。14年ごろに現れた「ネジバナ」もその一つだった。夏が近づくとらせん状の淡いピンク色の花をつけるのが美しく、抜かずに残していた。

 4年が経った頃、花を咲かせる時期が周りと違うネジバナが紛れていることに気づいた。「ベランダバイオーム」という名前でツイッターに日々のベランダの様子をつぶやいている佐々木さんは、その様子を投稿した。

 すると、ネジバナに詳しいユーザーからネジバナと同じ仲間の「ナンゴクネジバナ」ではないかと指摘をもらった。

 これまで日本のネジバナの仲間には、九州より北に分布し6月ごろに咲くネジバナと、主に琉球列島より南に分布し3月ごろに咲くナンゴクネジバナの2種があるとされていた。本州の一部でもナンゴクネジバナの目撃報告はあり、分布が北上しているのではないかと言われていた。

 2種は茎に細かい毛が生えているかいないかで見分けることができる。

 19年になり、ナンゴクネジバナとされる個体がまたベランダの鉢で花を咲かせた。佐々木さんは、そんなベランダの日常の様子をいつものようにツイッターで報告した。ダイレクトメッセージが届いたのはそんな折りだった。

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