戦後最悪とも言われた日韓関係を「正常化」の軌道に乗せた16日の日韓首脳会談について、韓国メディアは17日付の朝刊などで岸田文雄首相と尹錫悦(ユンソンニョル)大統領の握手の写真とともに大きく報じた。本格的な関係改善には懐疑的で、過去の植民地支配について岸田氏からの直接的な反省や謝罪への言及がなかったことを採り上げる報道が多くみられた。
保守系の尹政権に近い主要紙の朝鮮日報は「GSOMIA(軍事情報包括保護協定) 完全に正常化」「経済、安保協議体を新設」などの見出しで会談の結果を詳報。社説は、韓国大法院(最高裁)が三菱重工業と日本製鉄(旧新日鉄住金)に元徴用工への賠償を命じた2018年秋より前の関係に「表面的には回復した」とし、「韓日関係の正常化の第一歩と評価できる」と分析した。
ただ、会談後の記者会見で岸田首相が歴史認識について「歴代内閣の立場を全体として引き継いでいる」と述べたことについて、「反省と謝罪に言及せず、徴用被害者への慰労の表明もなかった」「尹大統領の決断に対し、日本の呼応を求める韓国国民の期待に及ばなかった」とした。
- 【視点】
韓国メディアの失望や落胆を含む指摘は、単なる外交の問題にとどまらない、基本的なものの考え方の違いが影響しているように思う。韓国側には、両国関係の春の訪れを告げるような歴史的な節目なのだから、岸田氏は首相として、アドリブでも何らかの雅量をみ