第8回「子育ても大変でしょ」 総合職をめざした女性を阻んだ壁、壁、壁…

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阿久沢悦子
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 西日本にある大手商社の子会社で営業の仕事をしている女性(51)は、2005年に第1子を出産した際、育児休業を申請した。会社で育休を取る第1号だった。

 子どもが保育園に入ったらすぐに仕事に戻ろうと考えていた。だが当時の上司は女性を社外の喫茶店に呼び出し、「子育ては尊い仕事。ぜひ専念を」と言ってきた。

 女性は「辞めさせたいのだろうな。でも負けないぞ」と思った。

 共働きの家庭に育ったこともあり、仕事を辞めることは考えられなかった。

 復帰後は週2回、電車で1時間半の距離にいる母親を自宅に呼び寄せて子どもを見てもらい、残業もした。

 子どものために休んだり、業務が滞ったりしたら、後に続く女性がいなくなるという使命感があった。

 女性は総合職、さらには管理職をめざして働きますが、次々と「壁」が立ちはだかります。

自分の働きは「補助」じゃない

 女性は1996年、派遣社員…

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    藤田結子
    (社会学者=文化・コミュニケーション)
    2023年3月20日8時43分 投稿
    【視点】

    この記事中の女性のように、子育てなどによって、様々な機会を15年、20年あきらめさせられ続けた人たちが多数います。長い間、努力を重ねてきたけれども、取り返しのつかない時間が過ぎてしまった。そう感じている人たちに、ジェンダーや子育て・介護を理

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