第10回ウクライナ侵攻、和平の道は 元仏大統領側近が語るイラク戦争の教訓

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パリ=国末憲人
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 2003年のイラク戦争前、攻撃に急ぐ米英を思いとどまらせようと外交攻勢を展開したのが、フランスだった。当時、シラク大統領の外交顧問としてその活動を支えたモーリス・グルドモンターニュさん(69)に、経緯と教訓を聞いた。

 ――当時フランスは何を目指したのですか。

 私たちは米国に反対したのではなく、国際社会が機能しなくなるのを避けようとしたのです。正当な理由なしに国連安全保障理事会が戦争を認めることは、国連憲章の曲解につながるからです。

 攻撃を正当化するには、サダム・フセイン政権の大量破壊兵器開発を示す客観的な証拠が必要だと、シラク大統領は考えました。しかし、私たちの情報機関によると、それは存在しない。後に、その情報は正しかったとわかりました。

イラク戦争をめぐり米英と交渉を重ねてきた経緯をグルドモンターニュ氏が振り返ります。後半ではイラク戦争の教訓、ウクライナ侵攻の和平を決める要素についても語っています。

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 米英の攻撃を思いとどまらせ…

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    佐藤優
    (作家・元外務省主任分析官)
    2023年3月25日7時16分 投稿
    【提案】

     モーリス・グルドモンターニュ氏の「戦争は必ず避けられるということです。戦争は、運命ではない。しかし、避けようとすると、敵と対話をしなければなりません。そのためには、安全保障に注意を払うよう心がけるべきです。安全保障なしには、繁栄もなければ

連載崩れた覇権 アメリカとイラク戦争20年(全12回)

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