2003年のイラク戦争前、攻撃に急ぐ米英を思いとどまらせようと外交攻勢を展開したのが、フランスだった。当時、シラク大統領の外交顧問としてその活動を支えたモーリス・グルドモンターニュさん(69)に、経緯と教訓を聞いた。
――当時フランスは何を目指したのですか。
私たちは米国に反対したのではなく、国際社会が機能しなくなるのを避けようとしたのです。正当な理由なしに国連安全保障理事会が戦争を認めることは、国連憲章の曲解につながるからです。
攻撃を正当化するには、サダム・フセイン政権の大量破壊兵器開発を示す客観的な証拠が必要だと、シラク大統領は考えました。しかし、私たちの情報機関によると、それは存在しない。後に、その情報は正しかったとわかりました。
イラク戦争をめぐり米英と交渉を重ねてきた経緯をグルドモンターニュ氏が振り返ります。後半ではイラク戦争の教訓、ウクライナ侵攻の和平を決める要素についても語っています。
戦争に走った米英、シラク大統領が予想した「テロの波」
米英の攻撃を思いとどまらせ…
- 【提案】
モーリス・グルドモンターニュ氏の「戦争は必ず避けられるということです。戦争は、運命ではない。しかし、避けようとすると、敵と対話をしなければなりません。そのためには、安全保障に注意を払うよう心がけるべきです。安全保障なしには、繁栄もなければ