苦境の淡麗辛口に新たな味と進化を 若き蔵人が新潟で挑む日本酒造り
長橋亮文
淡麗辛口な味わいでかつて全国的なブームとなった新潟の日本酒。人気はすっかり陰り、出荷量は大きく落ち込んでいる。そんな苦境の酒どころに、若い蔵人たちが醸す酒が新たな風を吹き込んでいる。
元証券マンはM&Aで佐渡の蔵元に
千葉県出身で証券マンだった加登仙一さん(29)は2018年、M&A(合併・買収)で「天領盃酒造」(佐渡市)の蔵元となった。翌19年から展開する「雅楽代(うたしろ)」は、ほのかな甘みやまろやかな酸味を売りにする。
新潟の酒は、すっきりとした飲み口にするため醸造アルコールを添加しているものが少なくなく、コメのうまみも感じにくいと思っていた。伝統的なものとは一線を画す味わいを目指した。
さらに、補助金やクラウドファンディングを活用して資金を調達し、古くなった機械の更新に毎年数千万円を充てた。昨年には、酒の品質を左右するこうじづくりに力を入れようと専用の施設を新たに設けた。
かつては佐渡島の酒というだけで観光客が珍しがって手に取ってくれることもあった。「これからは酒の品質で全国トップレベルを狙う」と語り、「新潟では若い世代で勢いのある酒蔵がいくつか出てきた。僕たちの世代で盛り返したい」と意気込む。
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