ウクライナへの侵攻を続けるロシアで、LGBTなど性的少数者を抑圧する動きが一層強まっています。プーチン大統領は侵攻関連の演説の場で、性的少数者を念頭に置いたとみられる差別的な発言を繰り返しています。なぜ、あえて言及するのでしょうか。性的少数者をめぐるロシアの歴史に詳しい早稲田大の安野直助教に聞きました。
インタビューではプーチン氏の発言に込められた狙いとともに、ロシアの歴史を振り返ります。安野助教によると、ある時期まではロシアは同性愛に寛容だったといいます。
「男らしさ」、根強いロシア
――プーチン氏は昨年2月24日のウクライナ侵攻開始以降、国民向けの演説で性的少数者を念頭に置いたとみられる差別的な発言を繰り返しています。例えば昨年9月には、ウクライナ東部・南部4州の併合を宣言する演説で、「子どもたちに堕落と絶滅につながる倒錯を押し付けたいだろうか。女性と男性以外に、何らかのジェンダーがあるかのように教え込み、性別適合手術を勧めるために」などと述べています。こういった発言には、どのような狙いがあるのでしょうか。
プーチン氏の一連の発言には、欧米との価値観をめぐる文化戦争の側面があると思います。
「男性らしさ」や「女性らし…
- 【視点】
少数派に対する怒りを煽ることは独裁者の常套手段。ヒトラーもやったし。だが、保守派政治家もよく使う。 我が国でも、LGBTQだけではなく、イスラム教徒、ユダヤ教徒、移民などに対する怒り、憎しみ、軽蔑などを煽ることで「マジョリティー」の皆さ

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