子育て支援に充てるはずが…80歳への「祝い金5千円」廃止案を否決

井上怜
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 秋田県仙北市議会は17日、80歳を迎えた市民に5千円を支給している「敬老祝い金」を廃止する市提案の条例案を、反対多数で否決した。市は浮いた財源を子育て支援に充てるとしていたが、反対した議員は「ささやかな幸せを奪う」などと主張した。

 市によると、2023年度の支給対象者は約340人で、予算として計約170万円が必要となる。事業を見直す中で、廃止の方針を決めたという。

 17日の本会議の討論で、廃止反対の議員は市側の説明が不十分だとした上で「人生の先輩への敬愛の気持ちがあれば、努力して生み出せる金額だ」と主張。一方、廃止賛成の議員は「少子化を抑制するためには(子どもへの)投資が必要。今は我慢し、財政立て直しを図るべきだ」と訴えた。採決の結果、賛成4、反対11で否決された。

 田口知明市長は「高齢者と子どもをてんびんにかけるつもりはないが、財源が不足する中で子育て世代を支援する判断だった。議会と意見交換しながら最良の策を考えたい」と話した。(井上怜)

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