NY株、終値384ドル安 支援決めたはずの銀行に不安が消え去らず
17日のニューヨーク株式市場では、主要企業でつくるダウ工業株平均が一時、500ドル超下落した。銀行経営への不安は収まらず、景気減速懸念も広がって株式が売られた。終値は、前日より384・57ドル(1・19%)安い3万1861・98ドルだった。
前日の16日、経営不安が広がっていた米ファーストリパブリック・バンクに対し、米大手の11銀行が計300億ドル(約4兆円)を預金し、支援すると発表。株価は大きく値上がりして取引を終えた。だが、支援は不十分という投資家の不安は払拭(ふっしょく)できず、17日には再び下落。一部の銀行では預金の流出が続いているとみられ、今後、銀行の貸し出しが鈍り、景気減速につながるとの懸念が広がった。
また、景気が減速すればエネルギー需要が減るとの見方から、原油価格も大きく下落した。米ニューヨーク商業取引所では、国際指標の「米国産WTI原油」の先物価格が1・61ドル(2・36%)安い1バレル=66・74ドルと、約1年3カ月ぶりの安値で取引を終えた。
米コンサルティング会社、ビーコン・ポリシー・アドバイザーズのベン・コルタン氏は、「インフレを抑えるためにFRB(米連邦準備制度理事会)は利上げをしたが、環境が一変した。1行や2行の特殊な問題ではなく、より広範な問題だ」と指摘。「リーマン・ショックの経験から、政府や中央銀行は『銀行を救済している』と思われたくなく、政治的に受け入れられやすい対策を取っている。今後、何が起きるのか、よくわからないという不確実性がある」と話す。(ニューヨーク=真海喬生)
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