中学校は9・8%、高校(全日制)は9・2%――。これは、公立校の校長に占める女性の比率だ。ジェンダー平等の実現が国際的な課題となるなか、日本の校長の女性比率は諸外国と比べて極めて低い。女性リーダーの不在が子どもたちのジェンダー意識に与える影響や、女性校長が少ない原因と解決策について、識者に聞いた。
女性リーダーのロールモデルが不在に
文部科学省の学校基本調査(昨年5月1日現在)によると、公立校の校長の女性比率は小学校で約25%、特別支援学校で約28%なのに対し、中高では1割に満たない。つまり、多くの子どもが中高の6年間を「女性リーダー不在」の環境で過ごしていることになる。
教員全体に占める女性比率も、小学校と特別支援学校が約6割、中学校が4割超、高校が3割超で、学校段階が上がるにつれて女性比率が下がる傾向が浮かんだ。
同時に「教員」「副校長・教頭」「校長」と職位が上がるにつれて女性比率が下がる傾向がどの校種にも見られた。
政府は2010年、第3次男女共同参画基本計画のなかで、初等中等教育機関の教頭以上に占める女性割合について「20年に30%」という目標を掲げたが、15年には「20年に20%」と下方修正した。
20年には「25年に副校長・教頭25%、校長20%」という目標を示したが、中高の割合は目標に遠く及ばないのが現状だ。
日本の女性校長の比率は、国際的に見ても低い。経済協力開発機構(OECD)が18年に実施した国際教員指導環境調査(TALIS)によると、参加国・地域の中で中学校は最低、小学校は2番目に低かった。
女性校長が少ないことは、何が問題なのか。
まず挙げられるのは、「リー…
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子どもたちのコメントに胸が締め付けられる思いがしました。 飯島さんのコメントの通り、環境が"女の子の翼を折っている"状況がつらいです。 管理職だけでなく、一般教員でも、育児との両立の難しさから、正規の職を手放して一旦退職し、非常勤と