山梨学院、得意の足で勢いづいた 盗塁のサインに「やるしかない」
(18日、第95回記念選抜高等学校野球大会1回戦、山梨学院3―1東北)
自分たちの野球を貫いた山梨学院が、「1勝」という壁を乗り越えた。
五回2死一塁。5番・進藤天が追い込まれた後、吉田洸二監督は一塁走者の岳原陵河に対し、盗塁のサインを出した。ここまで東北の先発・ハッブス大起の荒れ球に苦しみ、得意の足を使った攻撃が封じられていた。それでもなお、監督は強気の姿勢を見せた。
「思い切っていかせた」という監督の気持ちに応えるように、「やるしかない」と岳原が二盗を決めると、チームは勢いづく。進藤が直球をとらえて先制の左前適時打を放てば、次打者の佐仲大輝も右中間への適時二塁打と続く。一気にハッブスを降板へと追い込んだ。
4番の岳原は「しっかり走って得点につながったのは良かった。打てたら一番良かったけど、与えられた役割をしっかりできたらそれでいい」と胸を張った。
山梨学院にとって、甲子園での勝利は大きな壁だった。
3季連続の出場だが、2022年の春、夏と過去2回はいずれも1点差で初戦で敗れた。甲子園での勝利は19年春を最後に遠ざかる(中止になった20年春の選抜出場予定校による甲子園交流試合では勝利)。
県内で勝てても、全国では勝てていない。
夏の大会後、「自分たちはチャレンジャーだ」と口々に言い合った。全員で戦う気持ちをより強め、目指したのは一つでも先の塁を狙う野球だ。昨秋の公式戦10試合は、24盗塁と足を絡めた攻撃で79得点。29年ぶりの関東王者に輝いた。
再び戻った甲子園。持ち味を貫いて待望の1勝を手にし、吉田監督は「ここ数年でこれほど勝ちたいと思った試合はなかった。選手たちがよく頑張った。すばらしい試合をしてくれた」と褒めたたえた。
春夏の甲子園に過去計15回の出場(中止の20年春を含む)で2勝したことはない。勢いに乗って、このまま歴史を塗り替えたい。(佐藤祐生)
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