指笛が鳴り響く甲子園、声出し応援解禁で「めっちゃ気持ちいい」

板倉大地 土井良典 松永和彦
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 阪神甲子園球場に歓声が戻ってきた。18日に開幕した選抜高校野球大会。4年ぶりに声出し応援が解禁され、アルプス席はにぎわった。

 第3試合の接戦を制した沖縄尚学のスタンドからは、軽快な指笛の音が響き、「沖縄の音」が戻ってきた。

 古里のチームの応援に駆けつけた、神戸市に住む主婦、兼本佳代さん(52)は「指笛は沖縄のソウル。これがないと盛り上がらない」。チャンスの場面で応援曲「ハイサイおじさん」が流れると、合間に「ピューピュー」と指笛で合いの手を入れた。

 2021年夏に沖縄尚学が出場した際は、球場に一般の応援団は入れなかったため、テレビの前で指笛を鳴らした。「今回は一致団結して応援できる」

 三回に仲田侑仁(ゆうと)選手(3年)が満塁本塁打を放つと、盛り上がりは最高潮に。あちこちから指笛が響く中で応援していた、野球部員の多和田透羽(とうわ)さん(2年)は「笛の音が選手にも届いた。試合を見ている人たちに『これが沖縄の応援だ』って見せられてうれしい」と顔をほころばせた。

 2年連続で初戦を突破した高知のスタンド。軽やかな鳴子の音色が球場に響きわたった。野球部員とダンス部員を合わせた約80人は「必勝」と書かれた鳴子を手に、よさこいを踊りながら選手たちを後押しした。

 昨年の選抜ではできなかった応援スタイル。野球部員で応援団長の和泉凪(いずみなぎ)さん(3年)は「鳴子の音が選手に届くように打ち鳴らした。気合の入った声援を送ることができて、めっちゃ気持ちいい」。

 スタンドには、高知と交流のある四條畷学園高校(大阪府大東市)マーチングバンド部が昨年に続いて応援に駆けつけた。演奏の合間に一緒になって声を上げ、エールを送った。

 東北(宮城)を破り、2回戦に勝ち進んだ山梨学院(山梨)のスタンド。ブラスバンドのリズムに合わせて野球部員やチアリーダーらが声を張り上げた。五回に先制すると、スタンドは一気に盛り上がった。

 昨年も選抜と全国選手権に出場したが、高齢者や幼児がいる家庭の生徒は応援参加を自粛した。今年の応援団は約750人で、前年の約1・3倍に増えた。

 山下成梧さん(2年)は「夏は踊りだけだったけど、やっと大声で応援できた。みんな練習より声が出ていた」。村松璃香(りこ)さん(3年)は、マスクを着けて選手の応援歌詞が書かれた紙を手に応援。中学校の修学旅行は中止になった。「コロナ禍で色んなイベントが中止になったけど、やっとみんなで来られた。活躍している選手を応援できることがうれしい」

 沖縄尚学と対戦した大垣日大(岐阜)のスタンドには、「けいた」「りく」などと打席に入る選手の名前を周知するためのボードが復活した。

 「ウィーアー日大」「かっとばせー」「いけー」

 13曲の振り付けに合わせ、マスク越しの大声援が飛んだ。応援団長の高松里佳さん(3年)は初の声出し応援のため、先輩が残した過去の映像を見ながら応援を組み立てた。「声出し応援はけっこう体力の消費が激しいですね。使う体力が違うというか。神経もつかうので。でもやっぱり盛り上がるので最高です」と声を張り上げた。

 応援席には卒業式を終えた先輩たちの姿も。昨夏の応援団長だった川合紗矢さん(18)はコロナ禍で一度も声出しができなかった。「声出しはやっぱり迫力が違う。ザ・応援という感じがするので、高校生活を延長してでもやりたかった。最後の最後に夢がかなった」と満足そうだった。(板倉大地、土井良典、松永和彦)

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