国際刑事裁判所(ICC)が逮捕状を発行したことで、ロシアのプーチン大統領は戦争犯罪の容疑者となった。逮捕へのハードルは高いが、国外への移動には制約が課されることになった。
ICCの公判は、被告のいない「欠席裁判」を認めていない。一方で独自の警察機構を持たないため、逮捕と出廷には加盟国の協力が必要だ。ICCのホフマンスキー所長は17日の声明で「逮捕状の執行は国際的な連携次第だ」と述べた。
ロイター通信によると、現職の国家元首への逮捕状はこれまで、スーダンのバシル大統領(当時)やリビアの最高指導者だったカダフィ氏など極めて少なく、国連安保理常任理事国の元首では初めてとなる。
2009年に「世界最悪の人道危機」と呼ばれるダルフール紛争で大規模な殺害の罪に問われたバシル氏に逮捕状を出した際は、現職中は国外でも逮捕には至らなかった。
成蹊大学の佐藤義明教授(国際法)によると、現職の国家元首は国際慣習法で逮捕・訴追されない特権がある。これに対してICC規程は、重大な戦争犯罪の場合は、たとえ元首でも「重大な例外」として逮捕・訴追できるという立場をとる。
プーチン氏がICC加盟国を…
- 【視点】
ICC国際刑事裁判所の非加盟国には、そもそもこのプーチン大統領に対する逮捕状についての拘束力が及ばず、非加盟国においてプーチン大統領が逮捕されることがないのは自明であるが、ICC加盟国をプーチン大統領が逮捕のリスクを冒しても訪問することは合

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