プーチンの「思い通り」に歯止め期待 ICC逮捕状、今後のシナリオ

有料記事ウクライナ情勢

聞き手・多鹿ちなみ
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 国際刑事裁判所(ICC)がロシアのプーチン大統領に逮捕状を出しました。ICC加盟国ではないロシアは「意味はない」と反発しますが、今後どのような影響が想定されるのでしょうか。同志社大の浅田正彦教授(国際法)に聞きました。

政治的には簡単でない逮捕状、「大きな一歩」

 ――浅田教授はこれまでもプーチン氏の訴追の可能性について言及してきました。

 制度上は可能性があると思っていましたが、ロシアという大国の現職大統領に逮捕状を出すことは、政治的には簡単なことではないとも思っていました。その意味で、実際に発付されたことは、国際刑事司法にとって大きな一歩だと感じます。

 ロシアは安全保障理事会常任理事国で、安保理決議案への拒否権を持っているだけでなく、核兵器も保有しています。そのため、なんでも思い通りにできるかのようにふるまってきました。

 しかし、国際社会における法の支配というものがあるんだ、ということを示した点で、大きな意義があると思います。

 ――ICCは逮捕状の容疑として、ウクライナでの占領地域から子どもを含む住民をロシアに連行した行為を挙げました。

 様々な戦争犯罪が行われていると思いますが、連れ去りに関しては映像もあり、担当大統領全権代表や大統領令を含め証拠が提示しやすいものだったということでしょう。

 文民に対する虐待や虐殺もありますが、それらがどのような経緯で行われたかという証拠は、立証が必ずしも容易ではないと思われます。また、プーチン大統領の逮捕状の根拠は犯罪を実行したという行為ではなく、上官としての責任を問うという形になりますが、そこには立証上、一段高いハードルがあります。そのような背景からも、証拠が明らかな容疑から着手したのでしょう。ICCのカーン主任検察官は昨年9月、国連の安保理においてこの問題を優先して取り上げることを宣言していました。

仮にプーチン氏が拘束されれば、公判はどう進む?

 ――ICCの公判には被告の…

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