履正社アルプスに新たな味方 創部1年目のチア部、甲子園で初エール

岡純太郎
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 初の選抜大会優勝を目指す履正社(大阪)のアルプススタンドに、心強い味方がこの春から加わる。昨年4月に創部したチアリーディング部「Oceans」だ。甲子園での応援を前に、キャプテンの赤間ゆずさん(1年)は特別な思いで選手たちに声援を送る。

 「そこ歌詞ちゃうで!」

 今月15日の夕方。履正社の初戦が迫る中、赤間さんの声が響く。この日は履正社の校内でチアリーディング部、吹奏楽部、生徒会の有志たちが急ピッチで全校応援の練習を進めていた。

 甲子園の応援はこれまで、同じ大阪府豊中市内にあり、全国屈指の強豪チア部がある梅花高校に頼んできた。

 部員は1年生のみの12人。文化祭やオープンスクールなどで演技を披露してきた。

 甲子園のために吹奏楽部が用意した応援曲は計25曲で、チア部員がそれぞれ協力して振りを付けた。

 ただ3月中旬までチアリーディングの試合があったため、準備は急ピッチ。振り付けは学校の休み時間や自宅で考え、部内で共有した。

 そんな生まれたてのチア部のキャプテンゆずさんの兄・昂大(こうた)さんは、17年の夏の甲子園で優勝した花咲徳栄(埼玉)のベンチ入りメンバーだった。

 小学生のころからグラウンドへ兄の応援に行っていたゆずさん。甲子園で球児に声援を送るチアリーダーたちをアルプスで見て、「かっこいい! いつか自分も踊りたい」と憧れた。

 実家の食卓では「兄が選手として、妹はチアリーダーとして甲子園に行けたらいいね」と話していた。

 中学時代は「チアを極めたい」と強豪校への進学も考えたが、履正社にチアリーディング部ができると知って、「甲子園で応援できるかもしれない」と進学を決めた。

 選抜大会への出場校が発表された今年1月下旬、校内放送で「選抜出場が決まりました」とアナウンスされると、授業を中断して野球部にクラス全員で拍手を送った。「こんなに早く夢がかなうとは思わなかった。テンションが爆上がりでした」

 ゆずさんのクラスの副担任も務める野球部の多田晃監督からは「甲子園でも応援、頼むで」と声をかけられた。

 チアリーディング部にとって初めての甲子園での応援の日が近づく。ゆずさんは、「不安というより、楽しみの方が大きい」と胸を躍らせる。

 今大会からは声を出しての応援も解禁され、甲子園に本来の姿が戻っている。「野球部にはたくさんヒットを打ってもらって、ずっとチャンスや得点の曲を踊りたいです」

 試合当日は全身を使って踊り、声がかれるまで選手たちにエールを送るつもりだ。(岡純太郎)

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