15年君臨したボスザル「中松」 若手台頭せず、長期支配のワケ
死ぬ間際までの15年間、「ボスザル」として君臨したサルが、札幌市の円山動物園にいる。なぜ、長期の支配を実現できたのか。
円山動物園で2月2日、サルの「中松(ちゅうまつ)」が死んだ。享年35。サルとしては高齢の大往生だった。
「中松」は2008年に序列1位となった。「周りをけちらすこともないし、オーラもない」と評される中松がその後、15年間も君臨した理由は何か。ニホンザル担当飼育員の石井亮太朗さん(24)が挙げるのが「少子高齢化」だ。
「本来であれば、起こりうる若手の台頭による『下克上』がなかったためです」
同園でのニホンザルの飼育は、1982年に京都府から引き取った61頭から始まったとされる。ピーク時には130頭を超えた。狭い空間で飼育頭数が多いと窮屈になり、けんかも増えて、ぎすぎすする。
園は、オスのパイプカットという繁殖制限に踏み切った。ここ17年間、新たな子どもは生まれず、サル山は著しく「少子高齢化」が進んだ。
サル山の「少子高齢化」の行き着く先はどうなるのか。最近は亡くなる頭数が増えて、「このままのペースでいけば、頭数が半減する恐れもある」という。
動物園も持続可能性には危機感を抱いており、人工授精による子作りの試みを2年前から始めた。しかし、まだ成功には至っていない。(日浦統)
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