足がガクガク震えても後続抑えた 智弁和歌山・清水が悔やむ2失点
(19日、第95回記念選抜高校野球大会2回戦 智弁和歌山2―3英明)
同点の八回2死一、二塁のピンチ。智弁和歌山の清水風太投手(3年)は内角を強気に攻めたてた。
5球目、ツーシームを思い切り投げた。「指にもよくかかっている。いい感じだ」。しかし、勝負球はバットにとらえられ、左前に運ばれた。本塁への返球が走者に当たり、一塁走者もかえって2点を奪われた。
足がガクガクと震えたという。マウンドに集まった仲間に声をかけられた。緊張で何を言われているのかがわからなかった。しかし、「やることは全部やろう」と自分を奮い立たせ、後続を抑えた。
その裏の攻撃。1死一、二塁で打席が回ってきた。アルプスからは応援曲「ジョックロック」が響く。追い込まれていたが力強いスイングで中前へ1点を返す適時打を放った。九回の投球でも味方の逆転を信じ、2死二塁のピンチを三振で抑えた。
9カ月前、けがが続いて自信を失っていた野手から、志願して投手に転向した。昨秋の近畿大会は全3試合に登板し、チームの4強入りに貢献した。中心選手として臨んだ選抜大会だったが、1点差で敗退。チームを勝たせることができなかった。
清水投手は試合後「本当に悔しい。あの2点が、あの2点がなければ。その事実の重みを感じている」と涙を見せた。そして言った。「夏には投手として自分が抑えて、自分がチームを甲子園に連れて行って、そして優勝したい」(下地達也)
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