サンドウィッチマンの直訴がきっかけ 仙台市「野球の聖地」発信に力

石橋英昭
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 野球の「聖地・名所150選」に仙台市内の3カ所が選ばれたことを受け、同市は新年度、三つの野球の聖地を活用した発信を進める。きっかけは仙台出身のお笑いコンビ・サンドウィッチマンの2人が、郡和子市長にある「直訴」をしたことだった。

 対象は、東北楽天ゴールデンイーグルス本拠地・宮城球場(宮城野区)▽戦前の日米野球でベーブ・ルースが本塁打を打った八木山球場跡(太白区、現・八木山動物公園)▽日本アマチュア野球の習慣「試合前挨拶(あいさつ)」発祥の地・旧制二高グラウンド跡(青葉区、現・片平公園)。

 市は新年度、片平公園に解説板を設置し、お披露目の行事も計画する。野球好きの人が市内周遊をするきっかけになるとして、3カ所を観光サイトやガイドブックに掲載したり、楽天球団とも連携した情報発信を進めたりするという。

 3カ所は、日本野球機構などが昨年、野球伝来150年を記念して選んだ全国150カ所に含まれる。

 とくに「試合前挨拶」発祥の地の片平公園については、これまであまり経緯が知られてこなかった。

 旧制二高(後の東北大教養部)のグラウンドで1911(明治44)年11月、東北6県の中等学校野球大会があった。このとき「学生野球の健全さをアピールしよう」と、試合開始前に両チームがホームベースを挟み、一礼をしたのが試合前挨拶のルーツとされる。1カ月後に旧制高の全国大会に出場した二高が各校に試合前挨拶を提案。その後、春夏の甲子園から全国に広まり、アマチュア野球界に定着していったという。

 この歴史を知ったサンドウィッチマンの伊達みきおさん、富澤たけしさんが昨年、郡市長との対談で「すごく誇らしいことだ」と、公園に案内板などを設けることを提案。市長が検討を約束していた。

 実はサンドの2人を動かしたのは、朝日新聞宮城版に連載コラムを持っていた野球郷土史家、伊藤正浩さん(50)。彼らのラジオ番組にリスナーとして投稿し、知らせたという。

 「仙台は明治時代から野球が盛んで、昨年は仙台育英高の甲子園大会制覇もあった。仙台市はもう一歩発想を進め、『球都・仙台』を名乗って、野球文化の伝統を観光コンテンツとして生かしてはどうか」と伊藤さんは提案している。石橋英昭

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