「イラク戦争のアメリカの行動がプーチン氏に影響」 ブレマー氏分析

ニューヨーク=中井大助
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 2003年3月20日に米国の侵攻で始まったイラク戦争は、世界秩序を混乱させた。20年経って、影響をどのように見るのか。国際政治学者のイアン・ブレマー氏は、ロシアによるウクライナ侵攻とも重なる要素がある、と指摘する。

 米国はイラクへ侵攻する理由として「サダム・フセイン政権による大量破壊兵器製造を止める」を挙げた。しかし、結果的には情報が誤っており、大量破壊兵器はなかった。

 「戦争が誤った情報に基づいて始まったことは、米国にも、国際社会にも大きく影響しています」とブレマー氏は話す。「米国が偽善的だと受け止められるようになり、指導力に陰りが生じました」

 そうした米国の行動は、ロシアのプーチン大統領にも影響した、とブレマー氏は分析する。「米国が虚偽の理由で戦争を始め、明らかな国際法違反を犯しているにもかかわらず、特に責任を問われなかったことを見ていたのは間違いありません。結果的に、ロシアも『ウクライナでロシア人が虐殺されている』という虚偽の理由を掲げ、侵攻に踏み切りました」(ニューヨーク=中井大助

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〈Ian Bremmer〉 国際政治学者、ユーラシア・グループ社長 1969年生まれ。98年に世界の政治リスクを分析する調査会社「ユーラシア・グループ」を設立。同社が毎年恒例で示す「世界の10大リスク」で、23年の1位には、ウクライナ侵攻を続けるロシア、2位には中国の習近平(シーチンピン)国家主席への権力集中を挙げた。

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