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マスクで板挟み、しんどい子に「あなたの意見が大事」 児童精神科医

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聞き手・富田洸平
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 マスクの着用が屋内外問わず個人の判断に任せられるようになりました。3年におよぶマスク生活は子どもたちにどのような影響を与えたのか。この転換期に子どもたちとどう向き合っていけばいいのか。児童精神科医の山口有紗さんに聞きました。

やまぐち・ありさ

 1984年生まれ。小児科専門医、子どものこころ専門医。地域の児童相談所や内閣官房こども家庭庁設立準備室などに勤務。

「外したい」「このままでいい」どちらも

 ――この3年間でマスクに対する子どもたちの心の変化はあったのでしょうか。

 「マスクの着用が徹底され始めた初期の頃と、今とでは状況が変わってきています。初期は『苦しいから外したい』とか『鼻が出ていると友達に色々言われていやだ』といった声が多く聴かれ、子どもたちにとって、いわゆる新しい生活様式に適応するのはとてもしんどいことだということがうかがえました」

 「また、マスクに限ったことではありませんが、休校や学校の行事の中止など子どもたちに関わる大切なことが、子どもたちの意見なしで決められてしまう状況がありました。私が接している子どもたちのなかにも、そうしたことがストレスになっていると教えてくれた子もいました」

 ――現状はどうでしょうか。

 「マスクを着用する生活にすっかり慣れ、反対にマスクがないことに違和感がある子もいます。例えば、小学3年生なら小学校入学からずっと、人生の3分の1をマスクをして過ごしてきたわけです。マスクをしていない生活がもう想像できない、という子どももいるかもしれません」

 「子どもたちはとても柔軟性がある柔らかな存在です。その時期にマスクに一生懸命適応しようとした、ということについてしっかり考えなければなりません。子どもたち全員がマスクを外すということを大歓迎というわけではなく、なかにはこの生活に慣れている、まだ感染症が怖い、などの理由からこのままでもいいと考える子もいます」

許してもらえたときのパートナー

 ――マスクに対する印象が変わっていると。

 「これまで子どもたちは『マ…

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