日銀やFRBなど6中銀、協調してドル供給へ 金融不安を抑える狙い

ワシントン=榊原謙
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 米国の中央銀行にあたる米連邦準備制度理事会(FRB)は19日、日本銀行など世界の五つの中銀と協調して、あらゆる取引に使われる基軸通貨ドルの供給を拡充すると発表した。20日から始める。米中堅銀行の相次ぐ経営破綻(はたん)や、スイス金融大手クレディ・スイス・グループの買収など世界で金融不安が広がっており、ドルを十分に流通させることで民間金融機関の資金繰りを支える。

 FRBが、カナダ、英国、日本、スイスの各中銀および欧州中央銀行(ECB)と合意した。ドルと各国の通貨の交換を強める。各中銀がドルを市場に供給するのは1週間に1度だったが、これを毎日できるようにして、ドル需要を支える。少なくとも4月末まで続けるという。

 金融不安が高まると、ドルをためこむ動きが強まり、銀行のドル調達が難しくなって危機を増幅する可能性がある。そうした事態を防ぐために、中銀がドルの供給を拡充し、民間銀行などの資金繰りや決済を支える。それにより、銀行が企業や家計に貸し渋りするのを防いだり、金利の安定につなげたりする。

 FRBは今回の措置について、「グローバルな資金調達市場の緊張の緩和」などに役立つとしている。

 こうした中銀間のドル融通の枠組みは、2008年のリーマン・ショック時などに金融システムの安定のために活用された。今回の中銀6行は13年にこの枠組みを常設化。直近では新型コロナウイルスが感染拡大した20年にも、この枠組みでドル供給を強めた。

 シリコンバレーバンクなど相次ぐ米中堅銀の経営破綻に端を発した金融業界への信用不安は欧州に飛び火し、スイスでは経営不振のクレディ・スイス・グループを同国のUBSが買収する事態に発展した。(ワシントン=榊原謙)

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