第4回アメリカはなぜイラク戦争に突き進んだのか 歴史家が語る四つの要因

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聞き手・中井大助
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 米ブッシュ政権はなぜイラクへの侵攻を決め、どのような誤算があったのか。近著「Confronting Saddam Hussein(サダム・フセインとの対峙〈たいじ〉)」で経緯を検証した、米バージニア大のメルビン・レフラー名誉教授に聞いた。

 ――イラク侵攻をどう評価しますか。

 悲劇でした。米軍による戦争やその後の国内の混乱は20万人以上のイラク人の死亡につながり、700万~800万人が住んでいる場所から逃れることを余儀なくされました。米兵やその関係者は約9千人が亡くなりました。全てを総合すると米国は2兆ドル以上を支出したことになります。

 米国の政策決定者の関心がアフガニスタンから離れ、中国の台頭やロシアの変化に対応することも困難にしました。多くの米国民は「政府がウソをついた」と考えるようになり、党派的な対立を助長しました。

生物・化学兵器による攻撃の可能性が現実に

 ――なぜ、米国はイラク侵攻という悲劇を起こしたのですか。

レフラー氏はイラク戦争が「四つの要因」によって起き、そしてブッシュ政権が丁寧な検討を欠いたと指摘します。後半ではこの悲劇から学ぶ教訓についても語っています。

 悲劇だとしても、不可避の事…

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