第3回「米国もイラクで…」国連加盟国が思う矛盾 「前例」利用するロシア

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パリ=国末憲人 ニューヨーク=遠田寛生 中井大助
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 2003年3月11日、米ワシントンにある連邦議会の下院食堂のメニューが変更された。「フレンチフライ」「フレンチトースト」がいずれも改められ、「フリーダムフライ」「フリーダムトースト」となった。

 「フレンチ(フランスの)」を除いた理由について、担当の共和党議員は「同盟国の米国とともに立たないフランスへの不快感」と説明した。

 01年9月11日の同時多発テロを受け、米国のジョージ・ブッシュ政権は「対テロ戦争」に踏み切る。アフガニスタンへ侵攻し、タリバン政権を倒すと、次の標的として大量破壊兵器の製造疑惑があったイラクのサダム・フセイン政権に狙いを定めた。02年11月の中間選挙では、戦時ムードに押され、ブッシュ率いる共和党が議席を伸ばした。

アメリカの見立ては誤り フランスの情報が正しかった

 その米国に、国連の安全保障理事会で「待った」をかけようとしたのが、フランスだった。米国が03年2月、イラクへの武力行使を認める決議案を提出したのに対し、同じ常任理事国のフランスは抵抗し、拒否権の発動を示唆した。

 「私たちは、米国に反対したのではない。国際社会が機能しなくなるのを避けようとしたのだ」。当時のシラク仏大統領の外交顧問だった、モーリス・グルドモンターニュは振り返る。

【連載】崩れた覇権 アメリカとイラク戦争20年

イラク戦争の開戦から3月20日で20年。冷戦に「勝利」し、権力の絶頂でイラクに侵攻した米国は何を誤り、世界に何を残したのか。ロシアがウクライナへの侵略を続ける今とどうつながっているのか探ります。

 「攻撃を正当化するには、大…

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連載崩れた覇権 アメリカとイラク戦争20年(全12回)

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