第8回アメリカはロシアを非難するが 元国連安保理議長から見たイラク戦争

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ニューヨーク=遠田寛生
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 2003年、いずれも国連安全保障理事会の常任理事国である米国と英国が「有志連合」を組んで始めたイラク戦争は、国連ではどうとらえられていたのか。常任理事国であるロシアがいま、ウクライナへの侵略を続けていることをどう考えればよいのか。シンガポール国連大使で01年と02年に国連安保理議長も務めたキショール・マブバニ氏に聞いた。

 ――02年の国連安保理では、イラク大量破壊兵器査察問題が焦点でした。各国はどのような外交を展開していましたか。

 フランスやロシアは戦争を回避させようと動いていました。フランスは戦争を起こそうとしていた米国に対し、強い不快感を示してもいました。

記事後半では、「イラクが大量破壊兵器を製造している」と訴えた米国の主張の信ぴょう性や、ロシアを非難するアメリカに対して多くの国が抱いているだろう「本音」について語ります。

 ただ、意見や立場が違えど対…

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    鈴木一人
    (東京大学大学院教授・地経学研究所長)
    2023年3月23日20時0分 投稿
    【解説】

    キショール・マブバニ氏はシンガポールを代表する外交官で、ダボス会議などでも活躍する国際的知識人ではあるが、非常にはっきりした世界観を持っていて、それはアジアの台頭は正義であり、欧米による国際秩序の形成は望ましくないという、グローバルサウス的

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