甲子園の夢、空き地から始まった チームをつくった私が見た20年

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吉村駿
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 空き地からのスタートだった。

 2001年4月。高校に入学したばかりの倉持雄太さん(37)は、休み時間に同級生の男子生徒に声をかけて回った。

 「俺らで野球部を作ろうよ」

 小学校から野球一筋で、ポジションは投手。高校でも野球を続けるつもりだった。

 ただ女子校から共学になったばかりで、約1400人の全校生徒のうち男子はわずかに40人。野球部もなく、校内に野球ができる広さのグラウンドもなかった。

 入学から1カ月後、20人の男子生徒が集まった。「野球部をつくりたい」と担任の先生に頼みこんだ。

 まずは「同好会」としての活動を勧められた。校内の「空き地」を活動場所として貸し出されることになった。

「楽しみたい」から「勝ちたい」に

 20人のうち14人は初心者で、硬式用のグラブは誰も持っていなかった。顧問の先生がスポーツ用品店でもらってきたカタログを見せてくれ、全員でグラブを選ぶことから始まった。

 空き地は雑草と小石で覆われており、ボールが転がるのを想像できなかった。放課後に全員で雑草を抜いて、石を取り除き、空き地を整備した。

 6月上旬にグラウンドが完成。内野ほどの広さしかなかったが、キャッチボールと軽いノックができ、本格的な活動が始まった。

 みんなで一から作り上げた同好会。「楽しむこと」がモットーだった。ノックでミスをしても、練習に遅刻しても、誰からも責められることはなかった。

 ただ、公式戦には出場できず、休日は近隣の高校や中学のクラブチームと試合形式の練習をした。グラウンドでは、小石でイレギュラーバウンドした打球が顔に当たったり、ボールが空き地の外に出てなくなったりしたこともあった。

 「このまま楽しくやるだけで、良いのだろうか。もっとうまくなって、試合に勝つ喜びも味わいたい」と思うようになった。

 転機はすぐに訪れた。

 02年4月、選手時代に甲子…

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