第5回イラク侵攻で露呈した「情報分析」の難しさ 米英当局の発信に変化も

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ワシントン=下司佳代子 ニューヨーク=中井大助
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 「英国政府が知り得た情報によると、サダム・フセイン(イラク大統領)は最近、アフリカから相当量のウランを獲得しようとした」

 2003年1月28日。米大統領ジョージ・ブッシュは、米連邦議会での一般教書演説でそう語った。この情報は「イラクが核兵器など大量破壊兵器(WMD)の製造を企てている」という主張の根拠となった。しかし、後に虚偽だったと判明する。

 米国務省で情報分析を担当していたグレッグ・ティールマンには、演説を聞いた時から引っかかるものがあった。

 「これは我々がすでに否定した、あの筋の悪い話ではないのか」

 ティールマンは02年9月末に退職するまで、国務省の情報調査局(INR)で働き、イラクの兵器の脅威について評価する部署の管理職も務めていた。当時、「アフリカでのウラン入手」の情報については担当職員が「信用性が低い」と厳しい評価を下し、国務長官のコリン・パウエルにも報告していた。

 米政府の中に数ある情報機関の中で、INRはイラクに関わる情報の評価について慎重姿勢をとっていた。イラクのWMDに関する米情報当局の分析をまとめた機密報告書「02年国家情報評価」は「イラクはWMD計画を進めている」との判断を示したが、別稿として、イラクの核計画についてINRの異なる見解も盛り込んだ。

記事後半ではNYタイムズのパブリック・エディターが当時を振り返っています。また、イラク戦争後の情報分析の変化、いまも変わらぬ傾向についての指摘があります。

「私たちはどんどん侵略へと近づいている」

 ブッシュは03年の一般教書

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