ワーグナー「ニュルンベルク」で大団円 沼尻×びわ湖ホールオペラ
小味渕彦之・音楽評論家
びわ湖ホールの底力ここにあり。
3月末で同ホールの芸術監督を退任して桂冠(けいかん)芸術監督となる沼尻竜典の任期16年の締めくくりに、プロデュースオペラとしてワーグナーの歌劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」がセミ・ステージ形式で演奏された(3月2、5日)。
シングルキャストでドイツ語上演、日本語字幕付き。この作品で、同ホールはワーグナーの主要10作品の上演を沼尻の指揮によって完遂したことになる。いまだ残るコロナ禍の影響で、合唱はマスク着用での歌唱。舞台セットはほぼないものの、小道具も使われ、歌手も存分に演技をし、十分にオペラを味わうことができた。
舞台は16世紀のドイツ、ニュルンベルク。手工業者の徒弟制度の中で、マイスタージンガーと呼ばれた歌手たちが互いの詩作や歌の芸術性を高め競い合っていた。この史実から生み出された物語が、休憩込みで6時間という長大なオペラに描かれる。
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