店の塀に突っ込んできた車、生活道路に潜む危険 ワースト地点も一変

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上山崎雅泰
写真・図版
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 「魔の交差点」などと呼ばれる、交通事故が多い交差点のランキングに異変が起きている。

 ランキングは毎年、都道府県の上位5地点ほどを、警察の集計をもとに日本損害保険協会がホームページで公表している。ランク入りするのはこれまで幹線道路の大きな交差点が多かったが、昨年10月に公表された2021年のランキングから、その顔ぶれが大きく変化。信号機がないような小さな交差点が上位に姿を見せるようになった。

 何が起きているのか。

 松山市の中心部から南に約4キロ、おしゃれなカフェやごはん屋が並ぶ「古川はなみずき通り」にある市道交差点。平日の朝8時ごろに現場を訪れると、乗用車や原付きバイク、通学中の学生の自転車がひっきりなしに行き交っていた。

 交差点に信号機はなく、対向車の動きを確認しながらそろりと進入する車も。交差点の西側には南からもう1本の道路がつながっており、一時停止の標識と横断歩道が3カ所ずつある。

 歩行者が横断歩道を渡ろうとしていても、スピードを緩めずに通り過ぎる車が目立つ。犬の散歩でいつもこの交差点を通るという近所の女性(68)は、「スピードを出した車が多くて、渡るのも怖いです」と話す。近くに住む男性(78)は、「サイレンの音がだんだん大きくなって家の近くで止まるのを聞くたびに、また事故かとうんざりする」という。

 この交差点では21年に5件の人身事故が発生。損保協会のランキングで愛媛県のワースト1位になった。

 愛媛県警によると、車と歩行者、車と自転車の事故が2件ずつで、うち3件は人や自転車が横断歩道を渡っている時に発生。自転車の1人が重傷を負った。残る1件は車同士の追突事故だという。先ほどの男性は「事故が多いから信号機を取り付けてほしいという話が自治会で出ている。ドライバーは歩行者に気付かないんだろうか」と話す。

 前年のワースト1位の一つは、県内でも有数の交通量とされる国道33号と市道が合流する「天山(あまやま)交差点」(松山市天山1丁目)で、「市民ならだいたい知っている」(県警交通企画課)大きな交差点だった。ワースト入りの常連で、ワースト上位5地点のほかの4地点も、幹線道路の大きな交差点が占めた。

 だが、21年になってそのランキングはがらりと様変わり。上位5地点のうち4地点は、これまでランク入りしたことがない信号のない小さな交差点になった。

 隣の高知県でも、21年のランキングに高知市内の住宅地にある信号のない交差点が初めて登場。静岡、千葉、神奈川など、各地でワーストの上位に今まで姿を見せたことがなかった生活道路の小さな交差点が入った。

 変化の理由は、警察が交通事…

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